目 次
緒言―発刊にあたって― | |
序章 研究の目的と方法育 | |
第1節 問題の所在と研究の目的 | 1.問題の所在 2.社会科教育の課題と本研究の目的 |
第2節 研究の方法と論文の構成 | 1.研究の方法 2.論文の構成と各章の概要 |
第1章 社会科における役割体験学習の必要性 | |
第1節 状況的学習論の批判的検討 | 1.状況的学習論及び正統的周辺参加からの問題提起 2.状況的学習論(正統的周辺参加)の意義と問題点 3.学校教育における状況的学習論の方向性 |
第2節 社会科における体験的学習の批判的検討 | 1.実践事例にみる体験的学習の意義 2.体験的学習の問題点 3.体験的学習の分類と整理 4.意図的教授としての体験的学習の必要性 |
第3節 「役割」による体験的学習の再組織化 | 1.「役割」から捉えた状況的学習論と体験的学習 2.「役割」概念の意義 |
第2章 社会科における役割体験学習論 | |
第1節 先行研究・実践としてのロールプレイング (役割演技法)の検討 |
1.J.L.モレノにおけるロールプレイング 2.F.R.シャフテル,G.シャフテルにおけるロールプレイング 3.「役割体験」によるロールプレイング再組織化の必要性 |
第2節 役割体験学習の構想 | 1.役割体験学習における役割理論 2.役割体験学習における統合論的アプロー 3.役割体験学習の教授・学習論 |
第3章 授業実践報告にみる役割体験 | |
第1節 役割体験の4類型に基づく実践事例の考察 | 1.第1類型(主体「現実」・場「現実」型)の実践事例 〜岡部博保実践〜 2.第2類型(主体「現実」・場「仮想」型)の実践事例 〜ジェーン・エリオット実践〜 3.第3類型(主体「仮想」・場「現実」型)の実践事例 〜宇田川嘉一実践〜 4.第4類型(主体「仮想」・場「仮想」型)の実践事例 〜西川満実践〜 |
第2節 村野光則実践における問題追究過程と役割体験 | 1.村野実践の背景と実践の展開 2.役割体験に基づく村野実践の考察 |
第3節 実践事例から読み取る役割体験の意義 | 1.類型別にみる役割体験の意義 2.役割体験学習の意義 |
第4章 役割体験学習の実践「SIM TOWN【井角町】」の開発と実践 | |
第1節 役割体験学習のための教材「SIM TOWN【井角町】」の設計 | 1.役割体験による「開発問題」授業化の必要性 2.【井角町】の教材設計 |
第2節 【井角町】における討論の構造と評価方法 | 1.【井角町】における討論分析方法の必要性 2.坂原茂の日常言語理論 3.日常的推論分析法 |
第3節 授業実践の分析とその考察 | 1.群馬県藤岡市立北中学校における実践 2.授業実践の分析と考察 |
第4節 授業実践のまとめと評価 | 1.群馬県藤岡市立北中学校における実践 2.学習者及び参観者による【井角町】の評価 |
第5節 SIM TOWN【井角町】の再構成 | 1.【井角町】に参加した教師(教育関係者)からのフィードバック 2.【井角町】の実践者からのフィードバック 3.筆者による【井角町】の再構成 |
終章 研究の成果と今後の課題 | |
第1節 研究のまとめと成果 | 1.研究のまとめ 2.研究の成果 |
第2節 今後の課題と展望 | 1.課題と展望 2.結び |
主要参考文献 | |
資 料 | |
本書で提案する「役割体験学習論」は,社会科教育学研究の立場から執筆しているが,そのねらいは今日の学校や学校教育の変革にあり,いわば学校教育再生論なのである。序章で記しているように,本研究は,学校の営為や学校文化というもの自体を問い正しながら,そこで実践される教科としての社会科教育はどうあるべきなのかを実証的に検討した。こうした問題解決のためには,社会科教育学研究という限られた研究領域に安住することなく,学際的な視点から多くの研究分野の知見を得なければならない。それゆえ,研究内容は,社会学(学校文化論や役割理論),認知科学(状況的学習論),心理学・社会心理学(心理劇・社会劇),言語学(日常的推論分析法)等,多くの分野に及んでいる。場合によっては,専門分野の研究やその動向に対して異論を唱えている箇所もあるが,是非とも各分野の方々からのご批判とご教示をいただきたいところである。 |