堆積岩石学の概要


堆積岩石学の概要

 八木下 晃司  著
  

 A5判 208ページ 上製
 定価 3200円+税

ISBN978-4-921102-37-1 C3044

 


 

 

目  次

1章 堆積岩石学とは何か?
 1.1 砕屑堆積岩 vs. 炭酸塩岩
 1.2 粒度分析・空隙率
 1.3 QFL ダイヤグラ
   a)テクトニックセッティング/ b)気候・地形・風化条件とQFL
 1.4 二つの測定法
 1.5 続成作用・粒子間充填の問題
 1.6 シークェンス層序学との関連

2章 砕屑粒子の形状・空隙・積算曲線
 2.1 形状
 2.2 砂径粒子の空隙状態
  a)立方体充填/b)斜方体充填/c)菱面体充填/d)正方体充填
 2.3 粒子の円磨度
 2.4 積算曲線
  a)淘汰度/b)歪度/c)尖度
 2.5 積算曲線の具体例
  a)海底扇状地/b)陸上扇状地の堆積層/c)蛇行河川の河床砂
 2.6 堆積物重力流内部の泥質物質についての役割

3章 組成鉱物の風化・磨耗
 3.1 異なる気候条件下と地形の影響
  a)乾燥気候 vs. 湿潤気候/b)熱帯気候/c)地形の影響
 3.2 異なる堆積エネルギーの環境下
  a)海浜砂/b)上流〜下流の河川砂
 3.3 チャート岩片の風化・磨耗
 3.4 岩石種および組成鉱物種による風化・磨耗の違い
  a)現世の河川礫/b)現世の河川砂
 3.5 後背地の地質状況を推察する際の問題点
 3.6 風化・磨耗に伴うモード比の変化
 3.7 造岩鉱物の風化順序

4章 砂岩モード比の測定法
 4.1 二つの測定法
 4.2 モード比を求めるための粒子パラメーター
  a)石英/b)長石/c)火山岩片/d)その他の岩片/e)アクセサリー鉱物
 4.3 二つの測定法による命名法と研究目的の違い
  a)伝統的測定法が有効な研究項目/b) Gazzi-Dickinson測定法の有効性

5章 砕屑砂岩の続成 (粒子間充填) 作用
 5.1 粒子間のセメント作用
 5.2 軟弱な岩片の変形
 5.3 自生鉱物による粒子間充填および置換
  a)自生鉱物によるセンメント/b)置換作用
 5.4 石英オーバーグロース
  a)石英粒子間の接触・溶脱による珪酸物質/b)粘土鉱物のAl, K元素の働き/
  c)スタイロライト,その他の形成過程による珪酸物質/d)石英オーバーグロースの形成要因と形成時間
 5.5 二次空隙について
 5.6 異常間隙水圧と空隙率
 5.7 マトリックスの問題
  a)擬似マトリックス/b)砂岩の分類

6章 QFL ダイヤグラムとテクトニックセッティング
 6.1 Dickinson スクールの三つの領域
 6.2 いわゆる補足(娘)ダイヤグラムについて
  a)アパラチア山系起源の砂岩/b)沈み込み帯起源の砂岩/c)フォアランド堆積盆の砂岩/
  d)上昇地塊起源の砂堆積物/e) QFL ダイヤグラムとテクトニックセッティングの変遷 ( a→b) の例/
  f) QFL ダイヤグラムとテクトニックセッティングの変遷 ( a→b→c) の例
 6.3 成熟した火山島弧系の例
  a)グレートバレーシークェンス(GVS)の砂岩/b)四万十層群の砂岩/c)クィーンシャーロッテ層群の砂岩
 6.4 現世大洋底堆積物のQFL ダイヤグラム
 6.5 化学分析値によるテクトニックセッティング

7章 シークェンス層序学と堆積岩石学
 7.1 シークェンス層序学の概観
 7.2 クリプティックシークェンス境界の認定
 7.3 シークェンス境界と砂岩モード比の変化
 7.4 「堆積岩石相区」petrofacies
  a)一つのシークェンス内の堆積岩石相区/b)規模の大きな堆積岩石相区
 7.5 続成作用とシークェンス層序学
 7.6 海水準変動と堆積物の粒径変化
  a) 始新統野田層群港層の例/b) 第四紀河岸段丘の例/c) 河川勾配 vs. 河川砂礫の平均粒径

巻末資料
 1. テクトニックセッティング(Dickinson et al.)
 2. 砂岩の分類 (A,B)
 3. モード比測定表
 4. 正長石の染色法
 5. 砂堆積物の四分法および固化の方法
 6. 油滴の表面張力・毛管現象およびその移動


   本書はいわゆる砕屑堆積学 (clastic sedimentology) のうち, 礫, 砂, 泥などの砕屑堆積物や堆積岩, とくに砂堆積物や砂岩の組成鉱物 (composition) や組織 (texture) などについてその基礎と概要を記述したものである.この分野は従来から堆積岩石学 (sedimentary petrology) とよばれているが, 本書でいう堆積岩石学は砕屑岩の風化 (weathering) や続成作用 (diagenesis) の分野をも含んでいる.著者はこれら各分野の基本的な学習・研究事項にふれる一方で, 過去に公表された著書や重要と思われる近年の文献についての紹介も試みた.本書は基本的学習事項を多く含むという点では, 学部学生を念頭において書かれている.しかし近年の研究やその議論を紹介するという点では, 大学院修士課程(博士課程前期)の学生諸君をも対象としている.
 近年の地球科学の論文はその論拠の多くを化学的, あるいは物理的なデータに求めている.しかし野外調査や本書で述べる堆積岩石学的データは,それらの化学的・物理的データの前提をなすさらに重要なものであると著者は信じる.
 欧米では堆積岩石学に関するいくつかのテキストブックが既に刊行されている.例えばR.L. Folkの‘Petrology of sedimentary rocks’ (1974) や, F. J. Pettijohnの‘Sedimentary rocks’ (1972), またF. J. Pettijohn, P.E. Potter and R. Sieverの‘Sand and sandstone’ (1987),さらにH. Blatt, G. Middleton and R. Murrayの‘Origin of sedimentary rocks’ (1980) などで, これらはいずれも非常に優れたものであり, 本書でも引用している.またこれらの書では堆積岩石学のみならず, 堆積構造や古流向解析, また一部, 岩相解析にも言及していて内容は多岐にわたり, 文字どおり‘重厚’な書籍群である.しかしこれらは過去に出版された, やや古いもので, 1980年代以降の研究論文に関する情報を欠いている.例えば上述した書には, 1980年代に登場し, 確定した薄片の新たなモード比測定法や, QFLダイヤグラムを使った後背地やテクトニックセッティングの議論などが欠けている.具体的には本書で扱っている第4,5, 6,7章などの主な部分は, これらの名著ではふれられていない.
 本書は上述した欧米の碩学らが刊行したテキストに及ぶべくもないが, しかし著者が今までに実際にかかわった研究事項についても若干言及している.従って海外の優れた論文の内容やデータを引用したのはもちろんであるが, 国内の文献や著者自身の公表, 未公表論文の内容, データも多く引用するよう心がけた.
著者はこうして少しでも特徴あるテキストブックの作成に努めた積りである. なお本書では, 各章の記述内容が必ずしも順を追って発展的に述べられているわけではない. 読者は理解が必要と思われる部分については, 他の章の該当する記載事項を適宜に参照されたい.また本書で引用した文献については, 読者がなるべく直接それらにふれて検討されることを望む次第である.


著者プロフィール

八木下 晃司

(やぎした こうじ)

1942年 東京都生まれ
 1985年 トロント大学大学院博士課程修了(堆積学専攻),Ph.D
 岩手大学元教授
 放送大学元講師
 現在  早稲田大学エクステンションセンター講師
 著書  「岩相解析および堆積構造」(増補・改訂版,古今書院,2011年)




お求めは《注文画面》



もどる